水村美苗本格小説」下巻を読んでいる。東太郎の登場は普通。嵐が丘をベースにしたとしたら、背景として流れる日本語の文体の妙までを書き換えた作者の技量は大変なものかも。翻訳調じゃない、とろとろしている。嵐が丘がなくても、これだけで「本格」小説になっているという気がする。しかしもう少し日常を離れたい、という欲求不満のようなものがそこはかとなくある。本当に日常生活の文体なんだもの。