由良さん展

一週間ほど前に、ギャラリー北野で見た個展のこと、今になって思い出してる。この人はかつて言葉の世界にいた人だったのに、お花の絵を描き始めて、ボタニカルアート系とはちょっとちがう、もう少し洋画とかアートの感じに近い絵を描いている。白い背景に描きだされた作品は、すごく上手で、上手だなーと思って見ているだけで、慰められた。もちろん本人の才能もあるんだろうけど、「見たまま」に描くという姿勢だけで、ここまできれいなもの、すがたみたいなもの、描いて見せてくれるのがすごいって気がした。ことにイラストレーションの、いかに下手に描くか、なんて下種なことかもしれないと思えてきた。まあそれはそれで守りに入らないための方便で有効なものだと思うけど。なんか逸話も聞けて、シクラメンの、根のそばにくるくると巻いている茎があるのを訊いたら巻いて、種になって、種が太って、芽が出るそうだ。巻く、というのは「サイクル」につながり、ギリシャ語の「シクラメン」という名前になったそう。