ある絵の伝記 ベン・シャーン

The Shape of Content (The Charles Eliot Norton Lectures)

The Shape of Content (The Charles Eliot Norton Lectures)

高校の時に出会ってから、何度も読み返した本。20代のあるとき、尊敬する某先生もこの本を読んでいるということを仰ったので知った。描くことにまつわる、葛藤や幸福に、適切な概念を与える。「どのように考えればいいのか」ということが分かった、というかぎっしり詰まっていた本だった。その某先生と私とは関係があるようで、ないようで、(というか切られたんだけど)でも切り方が私の「世の中は愛情で動く」みたいなニュアンスをたたえていたので、ある種の幸福な経験でもあった。だけど切られたからには、先生と私を繋ぐこの本を、古本屋にもってくことにするべきだ、と思った。3件回って断られた。私はこの本を処刑することに決めた。鴨川に投げ入れた。そのあとのやりきれなさ、もし自殺したら、人や自分に取り返しのつかないこのような味わいを味わわせるのだなと思い、自殺するのはやめよう、と思った。このときだいぶ易のやりすぎで精神が参っていたと思う。のちに、本屋でこの本が絶版になっていると知った。その話をした友人が、あるとき古本屋で改訂前のものをみつけて送ってくれた。今手元にその本がある。めぐりめぐって、戻ってきてくれた本とその友人に感謝したい。
絶版なので原書を探してみた。画像は原書です。