岡山県立美術館

20日までベン・シャーン展をやっていた。新幹線さくらに乗って(のぞみはジパング倶楽部使えない)岡山に行ってきました。体調悪く、18日の病院では患者さんたちがお医者さんに「話聞いてほしい」という期待がタイムリミットでかなわないし、(私は「疲労がすごいです」といわれた)大阪市への、メールフォームで書いた意見に返事がなかったり。あと真宗の(?)坊さんにツィートしたのが帰ってこなかったりなどちょっと不満、絵をみるには不適当な状態だった。(仏教界は何をやっているんだろう。戦中、軍に味方して、殺してはならない、殺させてはならないの戒を破って、その反省はないのか。←これは僧侶の遠藤剛毅氏の言葉の一部引用。)
大阪から距離があったのがよかった。美術館は人ガラガラ、好きなだけ見れた。テーマが社会にかかわることを常に意識して描かれた絵のかずかず。聖書。マルテの手記。グラフィックデザイン。分類されていない「盲目の植物学者」にぐっとくる。ラッキードラゴン(これ第五「福竜」丸の英訳だということにここで気付く)シリーズの、墓に白い菊が供えられている作品「ホワイ」、兄弟の抱擁、すごい。テーマごとに違うけど、わたしはグラフィックデザインシリーズに心ひかれる。天使がオルガンを弾いているバッハのジャケットとか。力強い、のと完成されている、とは少しちがうんだな。ニューディール政策の職業で写真も撮っていて、それをもとに絵を描いているんだけれど、展示されている写真そのものも面白い。あと赤さびのような、濁った絵具の赤が印象的。この展覧会は最初福島を皮切りに全国をまわっているんだけど、福島にも「日常」はあるんです、それがよく伝わります、と図録で福島県立美術館の館長さんが語っていて、絵を描く上での、「日常」の重みに思いをいたす。橋の上のベンチに座っている男女。子ども。
文字、というのはなんだろう。ベン・シャーンが石版画をやっていたころに身につけた、文字へのこだわり、というかユダヤ人ということも関わっているのだろう。アルファベットの創作はほんとに美しかった。多くのイラストレーターに影響を残した画家だけれど、森本美由紀先生とか、日本のイラストレーションは書である、というのじゃなかったか、と思った。かつてこのブログに書いたことがあるけれど、今更だけど、『ある絵の伝記』をなくしてしまったことは、取り返しのつかないミスをしたと思った。ほんとに取り返しがつかない。図録、絵だけでなくいろんな人のシャーンに関わるインタビューとか載っていて、読んでいて面白かった。スケッチもいっぱい見れた。帰り看板に描き文字で「ぱん」と書かれているパン屋さんなどあり、思わず写真とってしまった。労働と日常と社会への立ち位置、今日も一日が始まる。

ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト -写真,絵画,グラフィック・アート-

ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト -写真,絵画,グラフィック・アート-