一昨日、髪を切って染めた。医療事務の、朗らかだったり無表情だったりするいろんな女性みたい、くらいしか感想はなく、そのうち胸の内臓のあたり、以外はみんな自分のものじゃないような気になって、変わらない部分に執着してるみたいでよくないなあと思う。それがこの本読んですっと憑きものが落ちたみたいに、自分というものがある気がしてきた。
前に一度、文芸誌でおっかけ読書してたとき、とても気に入っていたひとの書いた本。事件とか、小説的(悪い意味で)な描写をしなくても、そのあいだに、陽だまりのように見つかる人間の姿。想像力の文学シリーズ、よくもまあこんなに素晴らしい企画を思いついたものだ。読んでるときこれは途中で何も食べられない、というかたばこと水だけでやりすごす、と決心。読み終わって食事して、自分の動物ぶりに嫌になった。

埋葬 (想像力の文学)

埋葬 (想像力の文学)

小説中では、事実ということばは悪い意味でつかわれているけど、一瞬言葉のざざもれみたいな印象もすぐに収まり、事実に着地するいいフィクションだと思った。