祖母のこと

父がなにやらごそごそとやっている。みると、祖母の(多くは町内報に)書いた宗教観のようなものをまとめて冊子にしているんだった。製本して村のひとたちに配るんだそうだ。祖母は住職だった祖父亡きあと富山で寺の仕事をしているのだが、若いころこの寺にお嫁にきて、もう90歳を越えるまで仏教に従事した(?へんな言い方)人だ。お寺ってものは人の葬式の上になりたっている、というような身も蓋もない言い方も可能だが、これ読んでこの祖母は本当に仏教者だったのだなあと感心してしまった。父をあんな非常識な人に育てた祖母を私は内心認めたくなかった。しかしこのとてつもない(というかただ若いころに苦しくて念仏にすがった、というだけなのだが)人生をみて、父のことなんか瑣末なことに思えてきた。宗教は求道心と宗教的才能のある人のすべきことなのだ。ほんとに正しいよ。
だからと言って私にとっての宗教の位置づけが変わるわけではないけれども。そんなとこも押しつけがましくなく、よかった。