横田創「ちいさいビル」読みました。

やっぱり、面白かった。主人公かつらちゃんと勤め先のビルのオーナーのおばあちゃんまるちゃんとの出会いの会話なんて、これいつまでも続けばいいのにな、と思った。実際いつまでもつづくんだな、という形で小説はおわるのだが。それがかもし出す世界を、肯定しない「おばあちゃんの娘さん」は主人公の不倫相手の奥さんでもある。人物の相関の入り組み方が色を添えている。登場したかと思ったらまた背景に消えたり。生き方というよりか抽出される価値観の違いから、不可避の結末、引き受けねばならないことを迎えるということがよく分かる気がした。予想に反して、どろどろしてはいないけれど、まっすぐな責任がある、みたいな。