中原景「ピロートーク」

バツイチで子どもを育てながらフリーライターで食べていける女性ってどのくらい多いんだろうか。読書するときは、自分に引き付けて読むと狭くなるのでなるべくしないようにしているんだが、一度は目指していたライターという職種なのでそんな風に思ってしまった。憧れの職業、脚本家とか、フリーライターとか。そういう風に思っているひとたちならばだませるかも、というか吸引力があるかもしれない。でも葉っぱに入る「ふ」のように、この短編のリアリティはどこかすか、と隙がある。すか、の正体はわからない。(en-taxi2007年夏号)