ミシェル・ウエルベック

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現代西欧社会は「お金とセックスにあらゆるものが還元され」てしまって、そこから脱出するためのものとしての第三世界というものを丹念に追ってゆく、フランス人の主人公をめぐる筆捌き、魅力ある。行き詰まっている主人公に出会いがあり、あくまでも現代の中にとどまりつつ未来と自由を手に入れるかに見える。未来と自由。閉塞感とのコントラストがあざやか。最後はこうなるしかないのかな、でも読んでるあいだ幸せだったしいいか。(現代がどういう時代か、哲学の畑でなく文学で示されると胸がきゅうとなる)。
訳者の中村佳子さんは、「文学界」に新人月評を書いてらした方です。ウエルベックについての鼎談が「文学界」2007年5月号に掲載されてます。