萩世いをら「さようなら風景よ、サヨナラ」

この文体、好きだ。まっとうな、よく選び取られた言葉でできていて、殺伐としているときも、この文体の描写の感覚に支えられて安全に(?)読めているような気がする。内容は本当に殺伐としているんだけれども。「一回きり」の風景にであったことがさりげなく登場したり、事件でもなくただ地の文にすらすらとながれていくだけなんだけど、それがすごい救いだったりする。作者は1984年生まれ。才能のある人が、環境がよくて努力していると自然に世に出てくるんだなと思う。